のらくら備忘録

忘れたくない事と忘れたい事を書く。節約とポケモンが趣味の浪費家。

MEN同じ顔の男 を観た話 ネタバレあり

ネタバレを多分に含みます。
好きな映画評論家さんが勧めていたので観たくて観に行った。







世の中を生きる男達には全員見て欲しいし、女達には閲覧注意の作品だ。グロいし怖いけど、作品の本題はそこじゃない。

夫に自殺されたハーパーという女性が、田舎町の歴史ある豪勢な屋敷を借り、10日ほどの静養を取るという話なのだが観てて疲弊した。こういう話書くのももう何回目?って感じなので書くのもうんざりしてるので観てくれって感じ。



女の言葉は何故か信用しない男、女は夫の持ち物でなければ許さない男、女の安全は軽く考えられている事を理解しているけど何もしないしなんなら追加で加害する男、男の元から離れた女を力尽くで男の下に戻そうとする男達、結婚していたというだけで勝手に淫乱扱いしセックスを迫る男、女は感情的だと決めつけて聞いてもない説明マンスプをする男、女は母性のある生き物と決めつけ意に従わなければ「クソ女」ということを当たり前に行う男、女の心配は杞憂に過ぎないと言わせる男、「愛が欲しい」と宣いながら女を殴り「お前のせいで死ぬんだ!!!!」と自殺する女のせい男。


全員どっかで見たことあるね、出会ったことあるねという男達ばかりだ。


現世を生きる女達の元には、同じ顔を持つ男達が何度も何度も繰り返し登場する。何度説明しても何度でも飽きもせず現れる。傷ついた!と大っぴらに傷口を振り回しながら、傷口の理由には気が付きもしないで、自分で包帯を巻いたりしないしなんなら治す気もなくて、何度も何度も何度も何度も同じ説明を求める。
お前それ何回言わせんの?聞く気なんかないんだろ?と思う。

「せっかくフェミニズムに興味が出てきたのに、そんな言い方じゃ誰も聞かないよ?」
「わかるように説明してくれる?」
「そんな突き放すような態度、気にくわない」

そういうトンポリをする甘えた男達をインターネットで何百回見かけただろう。そういう男をケアするのが「何故女」なのだろうか。
トンポリする男達の間でケアしあえば良いだろうよという話。「そういう言い方が良くない」と思うなら「女達はもうこの話何百回も男達にしてるんだよ」位のことを言えと思う。

何もかも与えてもらう前提で本の一つも読まず、「田舎」という「ホモソーシャル」の中でぬくぬくと肥大化した「男」達が殴りかかってくる。ハーパーは一人でずたぼろになりながらそれに立ち向かう。それでも男が男を再生産する、有害な男が有害な男を産んでいく、ホモソーシャルの輪っかは永久に続いていく。女達はそれを諦念の瞳で見つめる。襲いかかってきたら殴らざるを得ない。正当防衛って言うんだけどね。

悪夢なのか現実なのか、わからないような描写が続き、これは「現実」という描写が起こり映画は終わる。
妊娠した友人から生まれてくるのは、きっと男児だろうね。終わらない悪夢、同じ顔の男が生産され続けるこの世界の事だ。

良い映画なので怖いのグロいのが苦手じゃなければ是非見て欲しい。特に男性。我々社会で生きてる女達が味わう恐怖や不快感を追体験できる良作です。女が常にどんなどん底の理不尽を男達から与えられているかを知れるよ。


フェミニズムは男が学ぶべき学問であると私は思ってるんですけど(だって男社会や家父長制が諸悪の根源なのになんで被害者の最たるもんの女が勉強しなきゃいけないんだ?と思うからですね)、その認識を強固にしたよ。

colabo叩いてる人たちにも言えることだけど、家父長制をくたばらせるためにはやるべきことは女を攻撃することじゃないんだよ。昨今のインターネット見てると思うけど、男を苦しめてるのは「らしさ」を奪い家庭に縛りつけようとする、家父長制なんだよ。


あんたらが女叩きしても何も救われないし、そんなことしててもあんたの人生にトロフィーワイフは現れないよ。本当に「不正を正したい」って気持ちだけなら良いと思うけど、女を叩きたい・女は恵まれているのような、ミソジニーの感情は混ざってないか?よく自問した方がいいよ。

女が好きなら女叩きする男達に「やめろ」っていえよと思う。男が止めなよ、どうせ有害な男らしさの人たちって女の話なんか聞かねえんだからよ。
私は女が好きだから女への加害をやめろって言ってるよ。

いい加減、女を叩いても何も解決しないことに気が付けないのかなと思い、うんざり疲れた。

悪いのは家父長制なのだが、そこに乗っかり続けて「愛が欲しい」と宣う男のことはよくわからん。俺たちはみんな家父長制に苦しめられている。そこと戦わなくちゃならないのに、女を叩いても何にもならない。馬鹿馬鹿しくて説明するのももう疲れた。これは歌のサビなので何度でも言おうと思う。男が苦しいなら男も権力と戦えば良いのである。戦え、戦わなければもっと状況は悪くなる。戦わねえならば加害すんな。
なあ、同じ顔の男達よ。


良い映画だった。グロやホラーが苦手じゃなければだけど、是非男性達観てみてね。