のらくら備忘録

忘れたくない事と忘れたい事を書く。節約とポケモンが趣味の浪費家。

傍観者でいる事を辞める為の物語。ガンパウダーミルクシェイクと自分の話。

ガンパウダーミルクシェイクという映画にまつわる自分の話。

4/1に観に行った。遅い時間の映画だったのだが、女性の一人客がそれなりにいて嬉しかったのを覚えている。
その時も「いや……面白かったな…痛快だ…」と思いながら帰宅した記憶があるのだが、今になって「いや……もう一回観てえな…」という気持ちがむくむくと湧いてきた。どこで上映しているだろうと調べた所、東京やってません。なんてことだ。


襲いくる渇望、渇きを満たす為にインターネットの海に飛び込んだ。耳にはガンパウダーミルクシェイクの音楽を流しながら。

するととても素晴らしい記事に出会った。
https://www.cinra.net/article/202203-gunpowdermilkshake_gtmnmcl
こちらの記事なのだが、欲しい言葉や解釈への理解が深く、そして作中に出てきた本の解説まで添えてある。最高だな、ライターはどなただろうと思って見てみた所、別件でお友達が勧めてくれていた水上文さんであった。
遂に出会ってしまったという感じがした。いつかどこかで自発的にでは無くても「出会うだろうな」と思っている人に出会えると感動してしまう。素晴らしい文章なのでぜひ読んでみてほしい。



映画ジャンルの中ではアクション映画が好きだ。好きな映画は?と聞かれたら迷わずアクション映画と答えるタイプだ。

昔から、強い女が好きだった。泣き喚かず、必要以上に悲鳴も上げず、誰にも守られず、自分の力で切り開く女が出てくる作品が好きだった。十五少年漂流記や小公女を繰り返し繰り返し読んで育った人間なので、多分弱い女というものを認識して居なかった。強い女、賢い女、踏まれても立ち向かう女、男に利用されない女、私の好きな本にはそういう人間がたくさん出てきた。幼い頃は本を山ほど読んで暮らしていた。サンタさんから本をもらって喜んでいた。大きくなったら図書館のある街に暮らしたいと思っていたことを思い出したのは数日前とある事をきっかけだ。なんのことはない、近所に図書館があった。狙った訳ではない。すごく嬉しかった。

話を戻そう。
女は弱いものだとか、不浄だとか、そういう言論が社会には蔓延っているが、私にとっては関係無い話だと思っていた。

本の世界から飛び出して、映画の中で強い女に触れ合ったのはどの映画だったか。初めては思い出せないが、バイオハザードシリーズが私は大好きだった。ミラジョボビッチ演じるアリスは強く、強くて優しい女だった。出てくる女たちは皆強く逞く、それでいて優しく、諦めなかった。
昔は映画館にあまり興味がなかったが、自発的に映画館に見に行った記憶がある。学生の頃は田舎に住んでいたので、そもそも映画館が無かった。車か電車で一時間だ。だからビデオを借りてきて見ていた。ビデオ屋も最初は無かった。途中で出来たが学区外だったので自力ではいけなかった。田舎というのは文化にアクセスしにくい土地だなと思う。今は配信もあるけれど、配信しない作品も沢山ある。


強い女、賢い女、男に媚びない女。ああいう存在になりてえなと昔から思っていた。
数十年経った今も強い女になりたい思っている。最強になりたい。


とにかく、アクション映画は最高で大好きで、またそれが女であれば尚最高なのだ。アクション映画は男が主役で女は守られがちなのが気に食わんという思いも、幼心におそらくあったのだと思う。はっきりと「女性が主役の映画が見たい」と思っていた記憶がある。

昨今はオーシャンズ8なども作られたりした。あれも最高の物語だった。


ガンパウダーミルクシェイクは、女だけが主役の物語だ。ただひたすらに女が強い。
家父長制のトップに君臨する、現場に出てこない男に利用されてきた女たちが、男たちに反旗を翻し立ち向かい傷だらけになりながらそれでも引かずに立ち向かい続けるストーリー。激アツ。痺れる。男を殺戮し殲滅する女たち。連帯する女たち。己の生死を顧みず、大いなる目的の為に命を賭す女たちの戦い。闘争から自由は生まれる。本を読め、本の中に武器はある。フェミニズムを勉強すれば、それはそのまま男社会に立ち向かう為の、身を守る為の武器となる。刃となる。拳銃となる。

図書館の中で繰り広げられる死闘。図書室に入り浸る子供時代だったから、無条件に図書館って大好きだ。おしゃれで素敵で無敵になれる。本の世界はいつだって私達を知らない世界に連れて行ってくれる。夢も希望も悲しみも苦しみも、本の世界には全てがある。文字通り「本を使って戦っている」のは分かり易すぎるほどに「本が武器」だという事に他ならない。分かりやすくて最高だった。隠し扉は浪漫よ。

アトミックブロンドの様などうしようとない強さと言い、恋愛的要素の書き方も最高という他なく、可愛すぎて胸がときめいた。オタクなので二次創作描いてる人いませんかという気持ちになった。


作中ではこれでもかとわかりやすくフェミニズムが、男女差別の構図が、散りばめられている。
男にトンズラされてもそれて戦わないとならない女、ハンデを与えられる中で戦わないといけない女、男に自由を奪われる女、男に殺される女。

「傍観者はもう終わり、どちらかにつかないと」というのは、この映画を見ている人間全てに向けられたメッセージだ。この世は残酷なシステムが罷り通っている。男に用意されたのは下駄であり、女に用意されたのはガラスの天井だ。

我々は闘わなければならない。闘わずしてこの世を変えることなどできない。闘わなくても生きていけるから中立という名の権力への追認をするなという物語だ。

俺はフェミニストだと語りながら、男女差別をする男達もいた。
表舞台に出てこない男たちと我々は戦うべきなのだ。家父長制のトップを引き摺り下ろせ。

円盤化が決まったらしい。
続編も決まったって本当ですか。